最後のスタッフ

  • この間、メトロに食材を買いに行ったら、そこで社員で働いている東京のホテルの後輩に長ったらしいプログはもう書かないのですか?と言われたので久々に書きます。ただ、私のはプログではなくモンク(文句)です。私のところの最後の社員が今年いっぱいで退社します。彼は丸5年、私のところで働いた最後の社員です。(もう5年だからFAでもしたらと薦めた)以前、閉店した店に入って料理の基礎もわからないまま先輩達が散らかした物のあと片付けと雑役だけで料理もろくに教えてもらえなかったので(カッコだけで仕事を教えられるような人やまともな経歴の経験者がいないが正しい)私が最初から鍛え直し、メンタルを強化して、まだまだですが卒業です。彼が将来フレンチでもやりたいのなら横浜のクラブミストラルのメンバーの南仏方面で修行された名店にでも紹介しようと思ったのですが(先日、宇都宮に誰かいない?電話があったから)将来、県南地区で創作居酒屋をやりたいと言うことなのでどうぞ・・・、彼なりに一生懸命がんばりました。最近、いつも彼に言っていること事があります。なにかのシロップにソーダやミルクなんか入れてかき混ぜてカクテルなんて言っている人いるけど、ちゃんと修行をして勉強してバーテンダーになった人達に失礼なことだぞ!ドライマティーニでも奥深いカクテルなのにジュースの出来損ないを軽々しくカクテルなんて呼ばないでくれ!料理もそうで、自分は料理を作るときにトルネード ロッシーニでもアンリ4世風でもマレンゴ風でも、当時どのような時代背景があってこの料理になったのだろうと思て作っていました。レペルトワールや辞書で調べて(その前に先輩に質問された)古典的なベアルネーズソースでもアーティチョークの下ごしらえや添え方でもガロニチュールのpomme ポン ヌッフというジャガイモのカッティングの仕方でも理由がそこにはあるのです。最後の従業員にはそんなことをいつも言っています。(多分最初からそういう教育のお店にいないから私が何を言っているのか理解出来ないと思う。でも自分でその理解できないこと事がわかるだけでも彼には進歩なのです。大多数の人は嫌になって辞めていく。辞めていっても知識、技能もないまま年だけとって雇用がない、なにも特技がないから給料も安い、でもいまさら一から修行もしたくないし叱られたくもない。その繰り返し.)わからなくても先輩方が築き上げてきた共有財産(カクテルでも料理でも)を何かの形で私は継承していかなくてはならないと思っています。